無題

小言

Behind the mask

先日は内科学会地方会があった。

今回はオンラインでの開催となり、自宅のテレビで色々な発表を聞くことができ、時代の変化を感じた。

そこで印象深かったのは3割ぐらいの演者がマスクをしながら口演したことだ。

別に演者の傍には人がいないのでマスクは不要なはずだ。

顔を隠したいのではないかと感じた。

 

屋内におけるマスクの呼吸器感染症の予防効果における証拠は蓄積されており、ここで蝶々することはしない。が、マスクが感染予防という用途を超えて文字通り、顔をマスク(隠す)するために使われている気がする。

 

外を歩いていてもみんなマスクをしている。

一人で犬の散歩をしている人、自転車に乗っている人、散歩をする老夫婦、親とマンションの前で遊ぶ子供、行き交う人はみんなマスクをしている。

屋外でも常にマスクをつけるべきだと、一体いつ誰が義務付けただろうか。

そして、それを推奨する科学的根拠はあるのだろうか。

www.bmj.com

 

屋外のマスクは、人混みや大規模イベント以外(=他者と2メートル以上の物理的間隔をとれない条件)では必要性は低いと考えている。

CDCも、屋外でのマスク着用は一般的には必要ではないと言っている

www.cdc.gov

 

私はワクチンを3回接種済みで、CDCの推奨どおり、屋外で人が傍にいない場所では基本的にマスクをしない。

 

私が興味を持っているのは、自家用車内でのマスク(車マスク)である。

私は自転車通勤者であり、2km近い距離を運転し、途中で渋滞が好発する道路を通るが、そこで多くの車に行き交う。多くは出勤や送り迎えの途中と思われるが、多くの人が車内でマスクをしている。

 コロナ陽性者数と車マスク率の相関を検討したら面白いと思っている。県内で昨年11月ごろ感染者がほとんどゼロに近い時にも、この車マスクの習慣は綿々と続いていたので、おそらく相関はないものと推測する。

 

先日、契約している駐車場の場所に見知らぬ車が止まっていた。黒いマスクをした女が運転席に座ってスマホをずっと見ていた。色々な迷惑行為もマスクをつけていれば、気兼ねなく行えるため、重宝なものである。

 

いまや素顔は当たり前のものではなくなり、特別なものになった。

「人は見られると美しくなる」という言葉をどこかで聞いた覚えがあるが、この言葉にはいくつかの真理が宿っている様に思う。では、まずはお前がここに己の顔を晒せって?御免蒙る。

 

いつの間にか根付いた「どこでもマスク」の文化はいつまで続くのだろう。吾が国において、マスクの「オフ」については殆どの論じられていないことを残念に思う。時には電話やメールやスマホから解放される様に、屋外ぐらいマスクから解放されて、新鮮な空気を吸うと良いのではないかと日々思っている。