無題

小言

日本製なくなる

抗菌薬は2019年にセファゾリンという大事な薬剤が市場から消えた。

セファゾリンの原料となる物質が、中国とイタリアの工場で起きたトラブルが原因で手に入らなくなった。ある日、急に処方できなくなったのだ。

我が国でセファゾリンは手術前の感染予防や、黄色ブドウ球菌感染症という臨床的に重要な細菌感染症の治療の第一選択薬である。仕方がないから他の効果が劣るかもしれない薬を使った。患者に大きな不利益はなかったが、セファゾリン以外にもいくつかの重要な抗菌薬が手に入らないという事態が1年続いた。

今はセファゾリンの流通が再開したが、なくてはならない抗菌薬を自分の国で作れないとは本当に情けないなと感じた。セファゾリンはそもそも我が国で開発された薬である。国による医療費削減の指針のもとでジェネリック医薬品などの導入を推進してきた。

その結果、抗菌薬の値段は崩れた。セファゾリンは販売当初は1g(1瓶)3000円だったが、薬価改定などでジェネリックセファゾリンは108円まで値下がりした。全く利益が出ない商品であり、売れば売るほど赤字が出るという。

これではメーカーも作る気を無くすというものだ。

現時点で日本ではペニシリンセフェム系抗菌薬を、原材料の輸入なしでは自国では作れない。以前は作れたが撤退してしまった。

このセファゾリン問題は大きく受け止められ、ようやく、我が国でも自前で抗菌薬を作れるようにしようという動きが出てきたところだ。

我が国は食料、エネルギー、衣類、医薬品など外国から輸入に頼っている。マスクが必要なときにマスクもすぐに作れない。防衛もアメリカ頼みである。

人間の生存に関わるものは海外頼みにしないほうが良いと思う。国家の存亡に関わる。